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コラム

無痛分娩を選ぶ人の割合は?日本と海外の違いについても解説

2026.01.27

無痛分娩を選ぶ人の割合は?日本と海外の違いについても解説

無痛分娩は、麻酔を使って陣痛の痛みを和らげながら出産する方法です。

海外では一般的に選ばれている方法ですが、日本での割合はまだ高くありません。

日本産婦人科医会のデータによると、2023年時点で無痛分娩の割合は全体の約11%にとどまっています。

(参考:無痛分娩産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜

しかし無痛分娩の割合自体は年々増加傾向にあり、希望する妊婦さんも少しずつ増えてきているのが現状です。

この記事では、日本の無痛分娩の割合について解説します。

海外の無痛分娩の割合や日本で無痛分娩の普及が進まない背景などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

無痛分娩とは

無痛分娩とは

無痛分娩とは、麻酔を使って陣痛の痛みを少なくしながら出産する方法です。

名前の通り「まったく痛くない」と思われがちですが、完全に感覚がなくなるわけではありません。

お腹の張りや赤ちゃんの動きは感じられるため、いきむタイミングをつかみやすく、自然なお産が可能です。

全身麻酔ではないため、意識をはっきり保ったまま赤ちゃんが生まれる瞬間を迎えられるのも特徴です。

ここでは無痛分娩の特徴やメリット・デメリット、具体的な流れについて解説します。

硬膜外鎮痛法により痛みを和らげる出産方法

無痛分娩でよく使われるのが『硬膜外鎮痛法』という方法です。

背中から細いチューブを入れて、そこから麻酔薬を少しずつ注入します。

子宮が縮んだり赤ちゃんが下りてくるときの痛みは、神経を通じて脳に伝わりますが、麻酔でその信号を和らげることで痛みを減らす仕組みです。

麻酔薬の量は調整できるため、分娩の進み具合に合わせて増減できます。

赤ちゃんへの影響は少ないとされており、ほとんどの場合は安全に行えます。

ただし、効果が出るまでに時間がかかることがあるため、希望してすぐに痛みが消えるわけではありません。

麻酔を始めてから効き目を実感できるまでには、準備を含めて30分〜1時間程度かかるのが一般的です。

無痛分娩のメリット

無痛分娩の一番のメリットは、強い陣痛の痛みを和らげられることです。

痛みが少ないことで、落ち着いて呼吸を整えたり、赤ちゃんを迎える準備に集中したりしやすくなります。

また、出産では長時間にわたって体力を使うため、痛みに耐えるエネルギーを温存できるのも大きなメリットです。

産後の回復がスムーズになり、赤ちゃんとの時間をゆったり過ごしやすくなります。

さらに、精神的な安心感が得られるのも大きな特徴です。

不安や恐怖が少ないことでリラックスしやすく、ストレスを減らすことにもつながります。

特にパニック発作や強い緊張を感じやすい人にとって、無痛分娩は心強い選択肢になるでしょう。

無痛分娩のデメリット

無痛分娩のデメリットとしてまず挙げられるのが、麻酔の影響でいきむ力が弱くなり、出産にかかる時間が長引いてしまう場合があることです。

その場合は陣痛を強める薬を使ったり、吸引分娩を行ったりすることもあります。

また、麻酔の効き方には個人差があり、痛みが十分に緩和されないケースもあります。

さらに副作用として、発熱やかゆみ、血圧の低下などが起こる場合もある点にも注意が必要です。

ごくまれに頭痛や神経への影響が報告されていますが、医療スタッフがしっかり管理しているため重大なトラブルは少ないとされています。

こうしたリスクも知ったうえで、自分に合うかどうかを考えることが大切です。

無痛分娩の流れ

無痛分娩の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 妊娠30週までに主治医に無痛分娩の希望を伝える
  2. 陣痛が始まったら入院する(計画無痛分娩の場合は予定日前日または当日朝に入院)
  3. 麻酔の準備を行う
  4. 麻酔チューブを挿入する
  5. 麻酔を開始
  6. 出産
  7. 必要に応じて麻酔を追加し、終わったら麻酔チューブを抜く

施設によって準備や対応の仕方は異なるため、事前に流れを確認しておきましょう。

日本での無痛分娩の割合

日本での無痛分娩の割合

日本における無痛分娩は、近年少しずつ広がりを見せていますが、まだ全体の一部にとどまっています。

日本産婦人科医会の資料によれば、2018年から2023年の6年間における総分娩数は約513万件で、そのうち無痛分娩による出産は37万件余りでした。

割合にすると7.3%程度と、1割に満たない水準です。

ただし年次別にみると確実に増加しており、2023年には11.6%と1割を超える数値に達しています。

海外と比べるとまだ普及率は低いものの、日本でも「痛みを和らげながら出産したい」というニーズが少しずつ反映されてきているといえるでしょう。

(参考:無痛分娩産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜

全分娩数における無痛分娩の割合は増加傾向にある

統計を見ると、2018年の5.2%から2023年の11.6%まで、6年間で2倍以上に拡大しています。

分娩件数そのものは年々減少しているにもかかわらず、無痛分娩の割合が上がっていることは確実です。

例えば2020年は約86万件の分娩があり、そのうち無痛分娩は約5万件(5.9%)でした。

2023年には分娩数が76万件台に減少した一方で、無痛分娩は約8.9万件(11.6%)と大幅に増えています。

つまり出産全体の件数は減少しているにもかかわらず、無痛分娩を選ぶ人の割合は着実に増えているということです。

(参考:無痛分娩産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜

無痛分娩に対応している施設は減少傾向にある

無痛分娩の割合は増加傾向にある一方で、無痛分娩を取り扱うことができる施設数は減っています。

産科を扱う病院や診療所自体が年々減少しており、この6年間で病院は約90件、診療所は200件以上減ったと報告されています。

2023年度のデータでは、全国で産科を取り扱う施設は2,013施設ありましたが、そのうち無痛分娩に対応できるのは742施設、割合にして約37%にとどまっているのです。

無痛分娩には麻酔科医や専用設備が必要で、すべての施設で対応できるわけではありません。

そのため「希望しても受けられない」状況が地域によって生じています。

普及率は上がっているものの、施設側の体制が追いついていないのが現状といえるでしょう。

(参考:無痛分娩産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜

無痛分娩の割合は地域差がある

無痛分娩の実施割合には地域差も大きく見られます。

2023年のデータでは、東京都が最も高く、次いで神奈川県や熊本県、千葉県などが上位に入りました。

これらの地域では病院の数が多く、無痛分娩に対応できる施設が比較的整っています。

反対に、岩手県や高知県は割合が低く、福井県や鳥取県、沖縄県なども全国平均に比べると少ない傾向にあります。

人口が少なく医療資源が限られている地域では麻酔科医の確保が難しいことや、無痛分娩を提供する体制が整いにくいことが要因の一つとして考えられるでしょう。

このため、妊婦さんが住む地域によっては、無痛分娩を希望しても近隣に選択肢が少ないという課題が残されています。

(参考:無痛分娩産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜

海外での無痛分娩の割合

海外での無痛分娩の割合

無痛分娩は、日本ではまだ限られた割合にとどまっていますが、海外に目を向けると状況は大きく異なります。

特に欧米諸国では、無痛分娩が一般的な出産方法として受け入れられており、7割以上の妊婦さんが選択する国もあります。

国ごとに普及率に差はあるものの、日本と比べて無痛分娩を前提とした仕組みが整っている国が多いのです。

日本よりも無痛分娩の普及が進んでいる国が多い

海外では無痛分娩が広く普及しており、アメリカでは出産の7割以上が無痛分娩で行われているといわれています。

ヨーロッパでも同様で、フランスは8割、フィンランドでは9割近い妊婦さんが無痛分娩を選択しているという報告があります。

(参考:日本産科麻酔学会JSOAP|Q19. 海外ではどのくらいの女性が硬膜外無痛分娩を受けているのでしょうか?

これは「出産の痛みをなくすのは自然に反する」といった考えが根強く残る日本とは対照的です。

もちろん欧米でもかつては議論がありましたが、医療技術の発展や安全性の理解が進み、いまでは標準的な方法として受け入れられています。

国によっては医師が積極的に無痛分娩を勧めるため、妊婦さんも選びやすい環境にあります。

日本と比べると「痛みを和らげるのは当然」といった考え方が強く、社会全体で出産に伴う苦痛を減らす文化が形成されているのです。

無痛分娩に適した医療体制が整っている

無痛分娩が普及している背景には、医療体制の違いがあります。

欧米では大きな総合病院で出産するのが一般的で、麻酔科医や産科医が常勤している体制が整っています。

無痛分娩を行うために必要な設備や人員が確保されているため、希望すれば対応できる環境が当たり前にあるのです。

一方、日本では個人病院や診療所での出産も多く、麻酔科医の数が限られているため、無痛分娩を行うには病院側の大きな準備が必要です。

その結果、導入に踏み切れない施設も多くあります。

海外では「医療資源が集中している大規模施設で出産する文化」が、無痛分娩の普及を後押ししてきたといえるでしょう。

安全性を確保しやすい体制が整っている点も、日本との大きな違いです。

無痛分娩が医療保険の適用となっている場合が多い

費用面の違いも、海外での普及を支える大きな要因です。

アメリカやフランスなどでは、無痛分娩にかかる費用が医療保険でカバーされることが多く、妊婦さんの自己負担はほとんどありません。

そのため、費用を気にせず出産方法を選べる環境が整っています。

また、出産後の入院期間が短い国では、無痛分娩によって回復が早まることも合理的とされ、結果的に医療費全体の負担を抑える効果も期待できます。

一方、日本では無痛分娩にかかる麻酔や管理費用は自費になることが多く、数万円から十数万円の追加費用が必要です。

この差が妊婦さんの選択に大きく影響しています。

海外では「痛みを軽減するのは当然であり、費用面でもサポートされる」という考え方が根付いていることが、普及率の高さにつながっているのです。

日本で無痛分娩での出産が少ない理由

日本で無痛分娩での出産が少ない理由

日本で無痛分娩での出産が少ない理由として、以下の4つが挙げられます。

  • 出産は痛みを感じないといけないという思い込みがあるため
  • 無痛分娩によるリスクを心配しているため
  • 無痛分娩に対応している施設が少ないため
  • 無痛分娩が保険適用外で多額の費用がかかるため

ここでは上記4つの理由についてそれぞれ解説します。

出産は痛みを感じないといけないという思い込みがあるため

「お腹を痛めて産んだからこそ愛情が芽生える」といった言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

こうした考えから、「出産は痛みに耐えてこそ意味がある」という思い込みが広がっています。

特に年配の世代では、痛みを乗り越えることを大切にする傾向が残っています。

しかし実際には、痛みの有無と母性や愛情の深さには関係がありません。

無痛分娩を選ぶ人の中には「穏やかな気持ちで赤ちゃんを迎えたい」「産後に体力を残したい」という理由が多く見られます。

出産の形は人それぞれであり、痛みを経験したかどうかで価値が決まるわけではありません。

無痛分娩によるリスクを心配しているため

無痛分娩をためらう理由として、「麻酔が怖い」「事故があるのでは」という不安もよく挙げられます。

確かに、ごくまれに合併症や副作用が起こることがありますが、ほとんどは適切な処置で防ぐことが可能です。

厚生労働省の統計でも、分娩に関連する死亡は年間で数十件にとどまっており、無痛分娩だけが特に危険というわけではありません。

それでも「ニュースで事故を見たから心配」という気持ちは自然なことです。

実際のリスクはどの出産方法にも存在するため、医師や助産師とよく話し合い、安心して臨める体制を整えることが大切です。

無痛分娩に対応している施設が少ないため

無痛分娩は、希望しても近くの病院で受けられないケースがあります。

理由は、麻酔を扱える医師が不足していたり、対応できる設備が整っていなかったりするためです。

特に地方では病院そのものが少なく、選択肢が限られてしまいます。

都市部には対応できる病院が多い一方で、地方では「受けたくてもできない」状況が起こりやすいのが現状です。

また、予約枠がすぐに埋まってしまうこともあり、希望どおりに選べないケースも少なくありません。

施設の数や体制の違いが、無痛分娩の普及を妨げている大きな要因になっています。

無痛分娩が保険適用外で多額の費用がかかるため

無痛分娩が広がらないもう一つの理由は、費用の問題です。

日本では出産は病気ではないとされているため、通常の分娩も無痛分娩も保険適用外となっています。

無痛分娩を希望する場合は、通常の出産費用に加えて10万〜20万円程度の追加費用がかかるのが一般的です。

家庭にとっては大きな負担となり、「受けたいけれど費用面であきらめる」という人も少なくありません。

一方で、海外では保険でカバーされる国も多く、金銭的な心配が少ないのが特徴です。

日本でも自治体によっては助成を検討しているところがあるため、今後は費用のハードルが下がることに期待が寄せられています。

まとめ

無痛分娩は、日本ではまだ1割程度にとどまっていますが、年々増加しています。

普及が進みにくい背景には「出産は痛みを感じてこそ」という考え方や対応できる病院の少なさ、そして費用面の負担などが挙げられるでしょう。

今後は環境が整えば、無痛分娩を選びやすい社会になる可能性があります。

関谷レディースクリニックでは、無痛分娩により痛みを抑えた出産が可能です。

一人ひとりに合わせた計画をご提案しているため、無痛分娩を検討中の方はぜひ当院までご相談ください。

関谷レディースクリニックの無痛分娩

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